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まず最初に東京のタクシーの「営業区域」をチェック

タクシーで一番稼げるのは、

東京の都心エリアです。

ですから、タクシードライバーに転職するのなら、東京の都心で仕事をすることをおすすめします。

平成25年の全国のタクシードライバーの平均年収は298万円ですが、東京のタクシードライバーの平均年収は403万円です。

首都圏でも埼玉県は316万円、神奈川県は309万円、千葉県は279万円ですから、東京のドライバーがダントツで稼いでいることがお分かり頂けると思います。

それならばと、東京都狛江市に住んでいる方がご近所のタクシー会社に就職しても、東京の都心どころか隣接している東京都世田谷区でも営業が出来ないことをご存知でしょうか?

実は、東京のタクシーは東京のどこでも営業ができるわけではないのです。

まず最初に、このページでは東京のタクシーの営業区域についてご紹介します。

東京のタクシーの営業区域

日本で営業しているタクシーは、東京に限らず道路運送法という法律で営業を行う区域が定められています。

東京都についてもタクシー会社の所在地(営業所ごと)に応じて、そのタクシー会社のタクシーが営業できる区域が次の5つに分けられています。

  1. 「東京都特別区・武三交通圏」
    東京23区・武蔵野市・三鷹市
  2. 「北多摩交通圏」
    立川市・府中市・国立市・調布市・狛江市・小金井市・国分寺市・小平市・西東京市・昭島市・東大和市・武蔵村山市・東村山市・清瀬市・東久留米市
  3. 「南多摩交通圏」
    八王子市・日野市・多摩市・稲城市・町田市
  4. 「西多摩交通圏」
    青梅市・福生市・あきる野市・羽村市・瑞穂町・日の出町・奥多摩町・檜原村
  5. 「島嶼区域」

例えば、「東京都特別区・武三交通圏」とは、東京23区・武蔵野市・三鷹市のことを言います。

東京23区・武蔵野市・三鷹市にあるタクシー会社(営業所)の営業区域は、東京23区・武蔵野市・三鷹市です。

この営業区域にあるタクシー会社(営業所)がお乗せ出来るのは、この営業区域内で移動するお客様と、この営業区域内で乗車または降車されるお客様だけです。

整理すると「東京都特別区・武三交通圏」が営業区域のタクシーがお乗せできるのは次のお客様です。

・東京都特別区・武三交通圏の中で移動するお客様
(例:東京都新宿区から東京都三鷹市までのお客様)

・東京都特別区・武三交通圏から他の交通圏までのお客様
(例:東京都中央区から東京都立川市までのお客様)

・他の交通圏から東京都特別区・武三交通圏までのお客様
(例:東京都立川市から東京都中央区までのお客様)

この営業区域のタクシーは、東京都立川市から東京都八王子市市までのお客様はお乗せできません。また東京都立川市から東京23区を通過して千葉県まで行くお客様もお乗せ出来ません。

違反すると行政処分の対象になります

この営業区域は、道路運送法という法律で定められているので、違反した場合にはタクシー会社が行政処分の対象になります。

具体的には、国土交通省関東運輸局の監査が入り、監査により法令違反が発覚した場合には、法令の規定により自動車の使用停止が命じられます。

その使用停止の日数10日車までごとに1点とし、処分日前3年間の累積違反点数が50点を超えることとなるときは、当該違反行為を行った営業所の事業停止処分を、80点を超えることとなるとき又はその他の悪質な法令違反があったときは、事業許可の取消処分を行っています。

たかが営業区域と思いがちですが、違反をすると他の法令違反と同様に重い処分が待っているので、タクシー会社はドライバーに対して強く指導を行っています。

違反の判定の方法

営業区域を守っているのか破っているのかの判断は、タクシードライバーが会社に提出する「営業日報」で判断します。

以前は、タクシーが信号待ちの時などに、運転手がバインダーに挟んである「運転日報」に運行区間と料金を書き込みをしていました。

ところが現在では、タクシーの「実車」ボタンと「空車」ボタンを押した場所をGPS機能で判断して、機械が勝手に「運転日報」を作成してくれるので、営業区域を守っているのか破っているのかの判断の精度は高まってきています。

そのため、「東京都特別区・武三交通圏」のタクシードライバーは、営業区域の境目にあたる「東京都西部」の川越街道・青梅街道・甲州街道・世田谷通りなどを都心に向かって走る時には、今何処を走っているのかに注意しながら営業を行っています。

まとめ

タクシーの「営業区域」についてはご理解いただけたでしょうか?

最初にお話ししたとおり、タクシーの仕事でいちばん稼げるエリアは東京の都心部です。

ですから、タクシードライバーに転職するのであれば、他に余程の理由がなければ

東京23区・武蔵野市・三鷹市の会社

を選ぶことをおすすめします。

この営業区域で仕事をするためには、この区域内にある法人タクシー会社の事業所(営業所)に転職すればいいのであり、タクシードライバーの住所は関係ありません。

私の会社でも、千葉県・神奈川県・埼玉県から電車で通勤しているタクシードライバーは何人もいます。

まずは、「東京都特別区・武三交通圏」が営業区域である会社を選びましょう。

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転職するタクシー会社の選び方

「タクシー会社なんてどこも一緒だよ」という人がいます。

確かに、東京のタクシーは都内23区と武蔵野市・三鷹市ならばどこでも営業が出来るので、どの会社に転職してどんな車に乗っても、ガンガン稼ぐタクシードライバーはいるのでしょう。

特に「流し営業」専門で仕事をやっている運転手は、あまりタクシー会社の違いを感じることは少ないかもしれません。

しかし、

タクシー会社はどこでも同じではありません。

どのタクシー会社に転職するかによって、入社後の営業スタイルや売上げ金額、給料まで変わってくるのです。

実際に、「流し営業」においても、お客様が特定の会社タクシーを選んで乗車されることがあります。また、「付け待ち営業」をする場合には、特定の場所で「付け待ちを出来る会社」と「付け待ちを出来ない会社」が存在します。

東京23区・武三交通圏には347社ものタクシー会社があります。どの会社に転職をしてタクシードライバーの仕事を始めたら良いのか迷う方も多いでしょう。

そこで、転職するタクシー会社を選ぶ時の着眼点について、いくつかご紹介します。

都心エリアに強い「東京4社」のタクシー会社に転職する

東京4社タクシー

「東京4社」とは何か?

東京で稼いでいるタクシードライバーは、東京23区の中でも、港区、千代田区、中央区という都心エリアで仕事をします。この都心エリアで有利に仕事ができるのが「東京4社」のタクシー会社です。

「東京4社」とは、東京の大手タクシー会社である「日本交通」「国際自動車」「大和自動車」「帝都自動車」の4社のことです。

「東京4社」と呼ばれる理由は、この4社が営業上の相互利益を得るために「東京4社営業委員会」という組織を作っているからです。この組織では「東京4社」だけで使える「共通タクシーチケット」と「東京4社」だけで使える「共通プリペイドカード」(タプリカード)の発行・取り扱いを行っています。

また「東京4社」タクシー車両の塗装についても、「4社カラー」と呼ばれるレモンイエローに赤帯のデザインに統一されています。

この「東京4社」のタクシー会社に転職をする「メリット」と「デメリット」についてご紹介しいます。

【メリット①】 タクシーチケットを利用されるお客様が多い

東京4社タクシーチケット

タクシードライバーにとって、タクシーに乗ってもご自分の懐が痛まないお客様ほど、いいお客様はいません。

そんなお客様はいるのかと思われるかもしれませんが、いらっしゃるのです。

それは、

タクシーチケットを使われるお客様です。

タクシーチケットとは料金を一括して後払いするシステムです。多くの場合、そのチケットを採用している企業様がタクシー料金を支払います。つまり「会社持ち」でタクシーに乗れるということです。

本来、タクシーチケットの契約は、個々のタクシー会社やタクシーの共同組合と企業との間で締結されます。ところが、東京4社で使えて利便性が高い「東京4社共通タクシーチケット」を採用している企業が相当数存在します。

これらの企業の役員・従業員が通勤や業務上タクシーを利用する時には、「東京4社共通タクシーチケット」を利用する可能性が高くなるのです。

また、「東京4社共通タクシーチケット」を採用している企業が取引先の接待を行う時には、お帰りの「車代」として「東京4社タクシーチケット」をお渡ししてお見送りをする可能性も高くなります。

企業の接待が行われる繁華街の代表格は中央区の銀座ですが、夜の銀座ではこの「東京4社共通タクシーチケット」を使って東京郊外や神奈川・千葉・埼玉の住宅地までタクシーで帰宅するお客様が数多くいらっしゃいます。

この4社チケット以外に、大企業や外資系企業が「独自のタクシーチケット」を採用していることも多いのですが、このタクシーチケットが利用できるタクシー会社の一覧表には、ほぼ100%「東京4社」が含まれています。

さらに、最近では「JCB」や「VISA」などのクレジット会社が発行する「タクシーチケット」や、タクシー専門の「キャブカード」を採用している企業も増えているのですが、「東京4社」のほとんどのタクシーで利用可能なので、これらの支払い手段を利用されるお客様も「東京4社」のタクシーを選んでご利用されます。

「東京4社」に転職すれば、これらのチケットのお客様をお乗せする可能性が高くなります。

【メリット②】 数多くの専用乗り場を持っている

「東京4社」のタクシー会社は、港区、千代田区、中央区などにあるオオフィスビルや企業・ホテル・病院などに数多くの「専用乗り場」を持っています。

「専用乗り場」とは、オフィスビルやホテル・病院などに設置してある「タクシー乗り場」の中で、特定のタクシー会社しか乗り入れることができない「タクシー乗り場」のことを言います。

この「専用乗り場」の数は「日本交通」が圧倒的に多くて都内に26ヶ所、次いで「国際自動車」が都内に20ヶ所持っています。この2社に比べると「大和自動車」は三井物産など、「帝都自動車」は汐留シティセンターなどに専用乗り場がありますが、残念ながら前の2社からは大きく見劣りがします。

ただし「専用乗り場」を持っているタクシー会社のドライバー全員が「専用乗り場」への乗り入れできるわけではなく、運転手としてのキャリア、車のグレードなどの条件が必要な「専用乗り場」もあります。

タクシードライバーの仕事は「専用乗り場」だけで稼げるほど甘い世界では無いのですが、オフィスビルの「専用乗り場」は安定してお客様をお乗せできてビジネスマンのお客様が多い魅力的な営業スポットです。

オフィスビル以外でも、ホテル・病院のタクシー乗り場は、曜日や時間帯によっては遠距離のお客様が数多く見込める、営業上重要なタクシー乗り場です。

これからタクシードライバーに転職を考えている方で、都心エリアでの営業に関心がある方にとっては、「チケット」や「専用乗り場」をで営業機会が見込める「東京4社」は、転職先の第1候補になると思います。

【デメリット】 給料の歩合の率が低い

タクシードライバーの給料は、「固定給+歩合給」または「完全歩合給」の会社がほとんどです。

タクシードライバーの給料の仕組みについては別の記事で詳しくお話ししますが、「固定給+歩合給」でも「完全歩合給」の場合でも、「東京4社」タクシー会社の月間の給料は(後払いのボーナス分を含んで)、4社とも給与体系が違うので厳密にはずれがあろますが、月間の売上げ金額(消費税分は除く)の約58%から60%に収まるようです。

東京4社以外の一部のタクシー会社では、月間の売上げ金額の60%から63%の給料を支給しており、それらの会社と比べると低い金額になりますが、この事には理由があります。

タクシーのお客様がクレジットカードや電子マネー、タクシーチケットなどでお支払いになると、タクシー会社はその金額の約3%から5%を手数料としてクレジットカード会社に支払います。

歩合率の高い会社では、この手数料をタクシードライバーの給料から控除して、そのお客様を取り扱った運転手負担にしている会社があります。また給料から無線機やカーナビの使用料を徴収している会社もあるようです。

私が知る限りでは、「東京4社」のタクシー会社本体ではこの手数料を会社が支払っており、クレジットカード決済等の手数料や機器の手数料を徴収している会社は無いので、この違いが歩合率の差になっているようです。(「東京4社」のグループ会社では徴収している会社もあるようです。)

どちらの給与体系が良いのかは一概に言えませんが、もしもクレジットカードやチケットなどのお客様がいなかった場合には、「東京4社」のタクシー会社の給料が少ないことになります。

東京タクシーセンターから「優良評価」を受けている事業者に転職する

東京タクシーセンター優良マーク

一般にはあまり知られていないのですが、東京には13箇所の「優良タクシー乗り場」があります。

具体的には、東京駅丸の内北口・南口、上野駅正面口、池袋駅西口、渋谷駅西口、新宿駅西口地下、新橋駅東口、品川駅高輪口、羽田空港国際線などで、指定されているどのタクシー乗り場も、数多くのお客様が見込めるタクシードライバーにとって重要なタクシー乗り場です。

優良タクシーのりばはこちら

これらの「優良タクシー乗り場」には「公益財団法人 東京タクシーセンター」から「優良評価」を受けているタクシー事業者のタクシーしか乗り入れできません。つまり「優良評価」を受けていないと、その会社に転職しても重要なタクシー乗り場で営業をする事ができないのです。

東京の法人タクシー会社は、毎年「公益財団法人 東京タクシーセンター」から「優良評価」(以前の「AA」「A」評価)、「B評価」、「C評価」の指定を受けています。

平成26年には、平成25年4月1日から平成26年3月31日までの実績に基づいて、東京都のタクシー事業者336社中267社が「優良評価」を受けており、「公益財団法人 東京タクシーセンター」のホームページで公表されています。

東京タクシーセンターの評価はこちら

評価は、「接客・サービス」・「安全・運行管理」・「経営姿勢」に関する情報について合計評価点数が100点満点となるように 評価基準を設定し、数値化による評価方式により評価が行われています。

具体的には「接客・サービス」では、タクシー業務適正化特別措置法による銀座地区での違法営業の有無(平日午後10時から翌午前1時まで、タクシー乗り場以外でタクシーのご利用が出来ない件)、東京タクシーセンターへの苦情の有無、サービスモニター(覆面調査)よる評価、「安全・運行評価」では、速度超過違反実績・駐停車違反実績・事故防止や過労防止への取り組み等が評価されています。

「優良評価」の有無は、転職に際して、その会社のタクシードライバーの資質や、会社の運転手教育の取り組み・経営姿勢を判断する目安にもなります。

タクシードライバーに転職するのであれば、タクシードライバーの資質や安全意識が高く、重要なタクシー乗り場で営業が出来る「優良評価」を受けているタクシー事業者の中から会社を選ぶと良いでしょう。

タクシー会社の所在地で転職先を選ぶ

タクシードライバーの仕事は、早朝に出社して翌日早朝に帰宅するという勤務パターンが多いので、交通機関を使わないで通勤ができる自宅から近いタクシー会社を選ぶというのも、ひとつの選択方法かと思います。

ただし営業面では、営業所の所在地によって若干の有利・不利があるので、所在地によるメリット・デメリットをご紹介します。

【都心エリアに近い会社・営業所のメリット】

都心に近い会社や営業所から営業に向かうのであれば、車庫を出てすぐにお客様を乗せることができて、帰庫にも時間がかからないため、営業時間や距離を有効に使うことが出来ます。

一方、都心エリアまで遠い場合には、会社や営業所から都心エリアまでの往復に時間がかかります。また車両が故障して修理が必要な場合や、会社や営業所に急遽戻らなくてはいけない場合に時間がかかります。

実はタクシーが1出番に営業ができる時間は21時間(3時間の休憩を含む)までと定められていて、1出番の走行距離も365kmまでと定められています。

鉄道会社やバス会社と同じように、タクシー会社も重大・悪質事故ががあった場合や、交通違反が一定以上累積したような場合には、行政がタクシー会社の監査に入りますが、その際には労働時間や運行距離の管理等も厳しくチェックされ、不備があると行政処分の対象となります。

以前は労働時間の管理はそれほど厳しく行われていなかったのですが、2009年に国際自動車がこれらの不備等で認可取り消し処分を受けたことを契機に、タクシー会社はドライバーが21時間を超過して営業所に戻って来た時には厳しく指導を行うようになりました。

指導と言うのは、違反や事故を起こした時と同じように事情書や報告書・反省文などを何枚も書かされて、会社の幹部職員から延々とお説教を受ける事です。

都心に近い会社・営業所であれば、そのようなプレッシャーも軽減され、余裕を持って営業ができるかもしれません。

【都心エリアに近い会社・営業所のデメリット】

東京の郊外や埼玉・千葉などに自宅がある方の場合、転職先への通勤に時間がかかることになります。

タクシー会社は、早朝に出社して翌日早朝に帰宅するという勤務パターンが多いので、電車やバス等の時間によっては、他の勤務シフトの検討も必要になるでしょう。

もしも、転職後に都心ではなくて地元密着の営業をしたい、自宅の近くの駅や繁華街で営業をしたいというのであれば、もちろん都心エリアに拘る必要はなく、通勤に便利で地元で評判の良い会社を選ぶと良いでしょう。

まとめ

タクシー会社はどこも同じように見えますが、実は同じではありません。

「東京4社」「優良会社」「所在地」などの違いにより、入社後の営業スタイルや収入なども変わってきます。

応募するタクシー会社を選ぶ際には、これらの予備知識を得たうえで、求人情報をチェックするのが良いでしょう。

皆さんの成功をお祈りしています。

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油断は禁物!タクシー会社の採用試験

皆さんはタクシー会社に応募すれば必ず採用されると思っていませんか?

実は私はそう思っていました。

その理由は、タクシー会社が1年中求人広告を出しており、誰でも採用するような感じがしていたから。

ところが、実際にはそんなことはありません。当然応募者によっては採用されないことだってあるのです。

私が自分の思い違いに気づいたのは、ある会社の採用試験を受けた時です。

面接の日にいきなり健康診断や適性検査を受けただけでなく、実際に車を運転して運転技能までチェックされました。

車を運転する仕事なので、当然と言えば当選のことです。もちろん、タクシードライバーにとっては学歴や職歴はなんの意味もありません。もっと別の部分がチェックされるのです。

そこで、このページでは、私が経験したタクシー会社の採用試験の内容をご紹介します。初めてタクシー会社の求人に応募される方は、事前にどんな内容なのかを確認しておくと、安心して採用試験に臨めると思います。

なお、私は一般企業の中途採用試験と同じ考え方で、一度に複数の会社に応募してしまいました。

そして複数の会社から内定の連絡を頂いたため、ある会社に内定辞退の電話をしたところ、そんな不誠実なことがあるかと怒られて、電話を一方的に切られてしまいました。

確かに、一度に複数のタクシー会社に応募することは何の意味もありません。皆さんは希望する会社から1社ずつ応募して、もしもその会社が不採用の時には別の会社に応募するという方法で十分かと思います。

タクシー会社の採用試験の内容

ここでは、まず最初に私が実際に経験した採用までの流れ3つご紹介します。タクシー会社によって、採用試験の内容や流れがだいぶ違うことが分かると思います。

なお、私はタクシー会社の求人情報をインターネットで確認して、そこに記載されている方法で会社に連絡をしました。

新聞の求人欄で求人情報を見た場合や、ハローワークで紹介を受けた場合などは、採用までの流れが違ってくるかもしれません。

今回はあくまでも参考事例としてご紹介しますので、その旨ご了承下さい。

事例① A社

営業所で実施されている採用説明会に参加。(参加者は5名程度)

後日、入社の意向があることを伝えて面接を予約。

履歴書・職務経歴書を持参して営業所で約30分の面接。その場でエントリーシートの記入、簡単な筆記テスト、適性診断を実施。また、 健康状態についてのヒアリングを受ける。

面設日の午後に会社の診療所に行き、健康診断を受診。

後日、電話で採用可否の連絡。

事例② B社

説明会に参加したいと連絡をしたところ、説明会は個別に行うので本社に来るように指示あり。

本社で人事担当者1名、当方1名で会社の説明を受ける。

後日、入社の意向を伝えて面接を予約。

履歴書・職務経歴書を持参して採用面接。その場でエントリーシートの記入、書面での適性診断、深視力の測定。

面接後すぐに診療所で健康診断を受診。

後日、電話で採用可否の連絡。

事例③ C社

採用センターでの説明会に参加。 参加者6名程度。その場で面接の予約。

後日、採用センターで約30分面接。その場でエントリーシートの記入、書面での適性診断、簡単な筆記テスト、視力検査、深視力の検査、運転シミュレーターでの適性診断を実施。

面接日の午後、会社の診療所で健康診断を受診。

同日、さらに研修所に出向いて、研修用の車を運転して運転技能のチェックを受ける。

後日、電話で採用可否の連絡。

タクシー会社に特徴的な採用試験の内容

上記の実例を見てわかる通り、会社によって採用試験の内容が異なり、濃淡もあります。

ただし、その中にもタクシー会社に特徴的な試験内容や質問事項がありますので、何点かご紹介します。

刺青、薬物の使用について聞かれた

応募した3社とも「刺青をしていないか?」「違法薬物を使用していないか?」という質問をされました。

この質問を受けた時には、正直に言って「あぁ、これがタクシーの世界なんだなぁ」と少し暗い気持ちになってしまいました。また、後で触れますが、実際に確認も行われます。

ただし、このような質問をするという事は、その会社には刺青のタクシードライバいないという事でしょう。前向きに考えれば良いのだと思います。

面談後すぐに健康診断を受診した

一般企業の新卒採用や中途採用の場合には、最終的な健康チェックのために、採用内定者だけが健康診断を受診することになります。

ところが、タクシー会社の場合には、面談を受けた人はほぼ全員、面談と同じ日に健康診断を受診します。

これは、タクシー会社は面談だけで採用の可否は判断しないこと、応募者の健康状態を重視していることが理由だと思います。タクシーの乗務は長時間に及びますし、乗務中に心疾患や脳血管疾患の発作が起きたら、重大事故につながります。その他にも、睡眠時無呼吸症状群のリスクがないかどうか、腰痛がないかどうかなどもチェックされるようです。

健康面以外では、受診時には上半身裸になり、両手の指もしっかり見せるように言われるので、ここで刺青の有無などがチェックされるのでしょう。

さらに、c社では、違法薬物検査に関する同意書も提出したので、違法薬物使用の有無についても検査されているはずです。

同業者としては恥ずかしい話なのですが、時々タクシードライバーが違法薬物使用で逮捕されています。また最近では、蛇行運転をしているタクシードライバーを職務質問したら、危険ドラッグを使用していてその場で逮捕されるという事件も起きています。今後、現役のドライバーにも薬物使用有無の検査が行われるようなので、応募者にも検査を行う会社が増えるかもしれません。

なお、これは研修時の教官に聞いた話なのですが、実は健康診断の結果、健康面が理由で不採用になる人はかなり多いのだそうです。

運転免許証の提示と違反・事故の履歴を聞かれた

運転免許証の保有は当然の事なのですが、ここで重視されるのは、違反・事故の履歴です。

実は、タクシードライバーで交通違反の取締りを受けたり、交通事故を起こすことはとても多いのです。しかも、違反や事故は同じドライバーが繰り返し起こします。

タクシードライバーは1日に21時間も勤務するので、違反や事故のリスクは、自家用車や営業車の何倍も高くなります。過去に免許停止処分を受けていたり何度も事故を起こしている人は、その時の状況を聞かれるかもしれません。

違反・事故履歴は、当初は自己申告ですが、入社が決まると自動車安全運転センターで発行する「運転記録証明書」の提出を求められるので、正直に話すことが必要です。

C社では運転技能のチェックも行われた

C社では実際に車を運転して、運転技能のチェックも行われました。研修所の教官が助手席に同乗して、一般道を15分程度運転したのです。

この会社では、応募者全員に対して、ドライブシミュレーターでの適性診断も行っています。交通事故は同じドライバーが繰り返して起こす傾向があるので、応募者が事故や違反を起こす可能性がないかどうかの見極めをしているのでしょう。

今になって思うのですが、タクシー会社は自動車を運転するドライバーを採用するのですから、C社は当然のことをしていたのですね。

採用内定の連絡

採用内定の連絡は、後日電話で行われます。

もしも不採用になっても、その理由は教えてくれませんが、気持ちを落ち着けて、今後どうしたら良いのかを考えてみましょう。

採用内定の連絡を受けた場合には、その後の指示かあるはずです。

一般的には、再度会社を訪問して、必要書類の案内、制服サイズの採寸、入社日の決定、入社後の説明などが行われます。

まとめ

なんとなくタクシー会社の採用試験の様子がお分かりになったでしょうか。

面接に関しては、落ち着いて面接官の質問に答えられれば問題はないかと思います。

違反や事故の履歴については正直に答えることが大切です。

また、どの会社でも面接日に健康診断も行われたので、体調を整えて採用試験当日を迎えるようにしましょう。

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タクシー会社入社後に受けるさまざまな研修

タクシー会社に入社すると、その翌日から、タクシードライバーとして必要な資格の取得、知識・接客方法の習得、機器の操作方法等の習得のために研修が始まります。

研修の期間や内容に関しては、大手だから期間が長くて充実しているかというとそうでもなくて、新人ドライバーの感覚としては、すぐに営業所に配属をしているような会社や、配属後には同乗研修を行わない会社もあります。

タクシードライバーという仕事は、机の前で話を聞いていても何の役にも立たないのは事実なので、会社としては1日でも早く現場に出したいというのはとても良くわかります。

しかし、個人的には、教習車による同乗研修を充実させて、ホテルや病院、オフィスビル、駅などの場所を出来るだけ多く教えて、実際に入る経験する必要があると思っています。

現在行われている研修期間はおよそ20日間から30日間ほどで、研修期間や研修内容は入社する会社により異なります。

このページでは、タクシー会社に入社してから、営業所やタクシー部門に配属されるまでに行われる研修の目的・内容などについてご紹介します。

おおまかな研修の流れ

一般的に行われる研修の流れは次のとおりです。

普通自動車二種免許の取得

地理試験対策の研修

「公益財団法人 東京タクシーセンター」の「新規講習」の受講、「地理試験」の受験

「独立行政法人 自動車事故対策機構」の適性診断

タクシーの営業方法・接客方法・法令・事故防止・機器操作・無線営業方法等の研修

教習車による実地研修(同乗研修)

営業所・タクシー部門での配属後研修(同乗研修)

研修が行われる時間帯

私の会社の研修は、

朝の6時40分に集合、6時50分に朝礼開始

でした。

実際には普通自動車二種免許を取得した翌日からだったのですが、最初は冗談を言っているのかと思って「本当は何時から始まるのですか?」と聞いたら怒られてしまいました。

タクシー業界は24時間営業です。始業・終業と言う概念はありません。本社は9時から17時の世界ですが、営業現場では内勤職員も朝の6時過ぎには全員出勤していて、最初の点呼は6時半に始まります。

研修も営業現場の時間で行われていただけで、今では朝の6時40分集合も全く普通の時間なのですが、9時から17時の世界に慣れていた私にとっては、衝撃的な出来事でした。

毎日、朝5時すぎの始発電車で通っていたのですが、研修中は完全に「なんでこんなに早い時間に出社するのだろうか?いじめか?」という疑念(笑)に取り付かれていたのは事実です。

ちなみに研修が終わる時間は16時30分。明るい時間に帰れたので、今思うといい待遇でした。

研修期間中の給料

ほとんどのタクシー会社では、二種免許取得期間や地理試験の勉強期間を含めて、研修期間中は1万円前後の日当が支払われるようです。(金額・期間は会社によって異なります。)

また、交通費も全額か、または上限を決めて支給される会社が多いようです。

「最初の給料は3ヶ月間30万円保障」というような会社が多いですが、この金額は乗務が始まってから算出する場合や、乗務開始後最初の給料から適用される会社が多いようです。

普通自動車二種免許の取得

タクシードライバーとして最初の仕事は、普通自動車二種免許を取得することです。

仕事として免許を取得するのですから、1回の試験で合格したいものです。また自動車教習所では「安全に運転する方法」を教えてくれるので、この期間にしっかいりマスターすることが大切です。

会社によっては、自動車教習所に通うときから「制服着用」を義務付けるようです。

普通自動車免許の取得の詳細ついては、次の記事をご覧下さい。

タクシー会社によって異なる!「普通自動車二種免許」合格までのプロセス

地理試験対策の研修、地理試験の受験

研修の順番は会社によって異なりますが、普通自動車二種免許取得後に東京タクシーセンターが実施する「地理試験」に合格しなければなりません。

地理試験は難易度が高く、地理試験対策の勉強をしないと合格が難しい試験です。会社によっては専門の研修スタッフを配置するなどして、合格までサポートしています。

地理試験の内容、合格に向けての勉強方法などについては、次の記事で詳しく説明しています。

意外に難関?タクシーの地理試験に合格する方法

「公益財団法人 東京タクシーセンター」の新規講習

「公益財団法人 東京タクシーセンター」とは、昭和44年に「東京タクシー近代化センター」として設立された公益法人で、昭和45年に施行された「タクシー業務適正化特別措置法」に定められた適正化事業を行っています。

東京都特別区・武三交通圏でタクシードライバーとして仕事をするためには、東京タクシーセンターが実施する「新規講習」を受講して、地理試験に合格後「乗務員証」の交付を受けなければなりません。

東京タクシーセンターの場所は、江東区南砂にあります。東京メトロ東西線の南砂町駅から歩いてすぐの場所です。

集合住宅と公園に囲まれていているエリアで、あまり生活感が無い場所です。

昔の名称が「東京タクシー近代化センター」だったからでしょうか、私にとってはなぜかとても暗い場所というイメージがあったのですが、建物は昭和61年に建てられた5階建てのビルで、1階には昼食時間に食事ができる食堂もあります。

ビルの2階と3階に各種講習が行われる教室があり、2回にはドライブシミュレーターが沢山並んでいる部屋もあります。

「新規講習」は、週2回4日間のスケジュールで実施されていて、講習の時間は9時から17時までです。各タクシー会社の新人タクシードライバーが対象なので、都内のタクシー会社から沢山の人が参加しています。

講習内容は、「法令」「安全」「接遇」「地理」の4部門に分かれていて、それぞれ専用のテキストに従って講義が行われます。1日の終わりには確認のためのテストがあります。

この研修期間中のメインイベントは、何と言っても3日目の午前中に行われる「地理試験」でしょう。この研修期間にも「地理」の講習はあるのですが、地理試験の問題とは関係ないと思っていたほうが無難です。試験対策の講義ではないということです。

「接遇」の講義で、東京タクシーセンターに寄せられる苦情の話しがあったのですが、その内容が一番印象に残っています。

配属前の研修

二種免許取得や地理試験合格が終わると、タクシードライバーとしての実務に関する研修があります。大きく分けると、机上で行われる研修と、教習車に乗って行われる研修の二つに分けられます。

そのそれぞれについて、お話しをします。

机上で行われる研修

①法令に関する研修

主に「タクシー業務適正化特別措置法」で定められた「銀座地区」の規制について講習が行われます。その他にも「道路交通法」に関する一般的な講習も行われます。

②顧客対応に関する研修
お客様の乗車から降車まで、様々な場面についての話しがあります。標準的な話法を使ったロールプレイングも行われます。会社によってはマナー研修も行われます。

③無線営業や各種機器取扱方法の研修
無線営業のしくみ・その対応方法、料金メーターの操作方法、クレジットカード・スイカ・パスモ・タクシーチケットの取扱方法等を、実際の機器を使って、間違いなく出来るまで繰り返し練習します。

④給与規定、勤務時間、懲罰などについての研修
給与・賞与の算出方法、21時間勤務の厳守、事故・違反を起こした時の懲罰等についての研修です。

⑤事故防止に関する研修
一般的な事故の類型や、その原因、防止方法についての話のほか、事故時のドライブレコーダーを使った研修や、会社によっては警察官(元警察官)の事故に関する研修もあります。

⑥営業方法に関する研修
私の会社では、当面、港区、千代田区、中央区を中心とした流し営業を行い、都内の地理を習得することに全力を挙げるように言われました。また、ベテランの乗務員の方の講義もありました。

教習車を使って行われる研修

新人タクシードライバー4人と教官が教習車に同乗して、新人が交代で運転をしながら都内を走ります。運転の他に、実際の乗務を想定したいろいろな研修が行われます。この段階ではまだお客様は乗車されません。

①地理研修
私の会社では、都内を5ブロックに分けて、1日1ブロックずつ5日間かけて、そのブロックにある施設・専用乗り場等を回りました。また、実際に銀座に行き、乗車禁止地域や右折禁止交差点等を確認しました。

②顧客対応研修
お客様が乗車されてから降車されるまでを通して練習します。料金清算時には、実際に機器を使って、全ての支払い方法に対応が出来るまで練習します。

③無線営業の研修
実際にダミーの無線を受信して、お客様乗車・降車までの練習をします。

④日常点検・タクシー洗車の研修
教習車に乗車する前には日常点検を、終了時には洗車を行います。

⑤非常時の研修
不審者の対応方法、非常無線の使用方法の研修、パンク時を想定したのタイヤ交換の研修を行います。

配属後の研修

研修センターでの研修が無事に終了すると、いよいよ営業所への配属です。研修期間を一緒に過ごした新人ドライバー達とも、お互いの健闘を祈りながらお別れとなります。

私の会社では、営業所に配属される日に最初の乗務が組まれています。最初の乗務と2回目の乗務では、グループ(会社によっては班、チームなど)のリーダーの方が助手席に乗って、いろいろとアドバイスをしてくれます。

最初の乗務で助手席にベテランの方が乗ってくれるのは、会社によって1回~3回のようです。またある大手の会社では、最初から1人で乗務するそうです。

また、私の会社では、月に1回のペースで、先輩方が新人向けの勉強会を開催してくれたので、わからないこと等はその時にも聞くことができました。

さて、最初の乗務ですが、とにかく初めてお客様をお乗せするわけですから、もう緊張でどこで誰をお乗せしたのか、何がどうだったかあまり覚えていません。

その代わりに、助手席に座って頂いたリーダーの方のアドバイスは良く覚えているのです。車の運転の事から、どこを流したらいいのか、どのルートでその行き先に行くのか、道がわからないときはお客様に何と言えばいいのか、近道はどれか、抜け道はあるのか、どこで休憩するのか等、いろいろとアドバイスを頂き、なんとか2回の乗務を終えました。

3回目からは1人で乗務したのですが、その後もリーダーの方だけでなく、先輩・同時期に入社した同僚、そしてたくさんのお客様に助けられながら、なんとか今まで仕事を続けています。

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タクシー会社によって異なる!「普通自動車二種免許」合格までのプロセス

タクシー会社に入社して最初の仕事は、普通自動車二種免許試験に合格することです。

自動車教習所に通うのだから「ラクショウだァ~!」なんてお気楽に考えていると痛い目に会います。

自動車教習所での講習は、朝から夜までびっしり!会社によっては「一発試験」を受けなければいけません。

このページでは、「普通自動車二種免許」合格までのプロセスに加えて、個人で免許を取得する方法についてもご紹介します。

普通自動車二種免許とは

普通自動車二種免許とは、「他人の重要に応じ、有償で普通自動車を使用して、旅客を運送する」時に必要な免許です。具体的には、タクシー・ハイヤーの運転手、自動車運転代行業の仕事をするために必要な免許です。

二種免許には、AT限定の免許と限定なしの免許があり、ほとんどのタクシー会社ではAT限定免許で問題ありません。ただし、限定なしの一種免許を持っている方は、せっかくですから二種についても限定なしの免許を取得した方が、将来何かの役に立つかもしれません。私は限定なしの普通自動車二種免許を取得しました。

普通自動車二種免許合格までのプロセスは、一種免許の追加で二種免許を取得するということではなく、もう一度新しい運転免許を最初から取り直すと考えると、理解しやすいと思います。指定自動車教習所で行う教習も、第一段階、第二段階に分かれていて、実技教習も最初は場内教習、次に路上教習というステップになります。

無事に指定自動車教習所の卒業検定に合格すると、免許試験場で学科の試験を受験します。学科試験の出題範囲も一種免許と二種免許の両方の分野にまたがるので、大昔に習ったことをもう一度最初から勉強し直す必要があります。

それから、多くの人にとって運転の実技教習は簡単で退屈かもしれません。しかし、せっかく車の運転をするのに、漫然と時間を過ごすのはもったいないことです。二種免許の実技教習の最大のテーマは「安全に運転するための技術の習得」です。ここで習う「安全に運転する技術」が、後にタクシードライバーの身を守ることになるので、しっかりと取り組みたいものです。

普通自動車二種免許の受験資格

年齢が21歳以上であること、普通自動車一種免許の取得から3年以上経過している必要があります。

普通自動車二種免許の取得方法

タクシー会社に入社してから普通自動車二種免許をする方は、入社される会社によって次のどちらかの方法になります。入社前の説明会で確認することをおすすめします。

指定自動車教習所の卒業後に学科試験を受ける

指定自動車教習所とは、その自動車教習所を卒業すると、運転免許を取得する際の技能試験が免除される教習所のことです。指定自動車教習所の卒業検定が、技能試験に該当します。

ほとんどの方は、普通自動車一種免許を取得した時に、指定自動車教習所に通ったことでしょう。その時と同じ方法です。平成14年度の道路交通法の改正で、二種免許も指定自動車教習所を卒業すれば、実技試験が免除になりました。

ほとんどのタクシー会社は、東京都内や近県の指定自動車教習所と契約を行っており、タクシー会社に入社したタクシードライバー希望者は、そのタクシー会社が契約をしている指定自動車教習所に通うことになります。また、一部の大手タクシー会社は、自社のグループ内に指定自動車教習所を保有しており、その場合にはグループ内の指定自動車教習所に通うことになります。

指定自動車教習所の卒業後は、ご自分の住民登録を行っている都道府県にある免許試験場で学科試験を行います。

実技試験・学科試験ともに免許試験場で受ける

いわゆる「一発試験」というやつです。一部の大手タクシー会社では、現在でもこの方法で二種免許を取得するようです。

教習所で実技の練習をした上で、ご自分の住民登録を行っている都道府県にある免許試験場で学科試験、実技試験を行います。

教習費用が大幅に安くなるので、コスト意識が厳しい会社は、今でもこの方法なのかもしれません。

普通自動車二種免許の取得費用

ほとんどのタクシー会社では、「免許取得費用は全額会社負担!」を掲げていますが、実はこのことについては要注意です。

確かに指定自動車教習所の費用は会社が払ってくれていますが、その費用は会社がタクシードライバーに融資したことになっているのです。研修中に、会社とタクシードライバーとの間で、二種免許取得費用や地理試験合格の費用に関する「金銭消費貸借証書」を締結する会社もあります。

「金銭証書貸借証書」ではなくても、「覚書」等の書面に署名することが一般的で、そこには短期間(1年~2年以内等でタクシー会社により異なります)で退社したような場合には、二種免許取得費用や地理試験合格の費用を会社に返済することが明記されています。

指定自動車教習所で普通自動車二種免許コースに入学する場合には、平均で約26万円ほどの費用がかかるので、短期間で退社するときには、その金額を会社に返済することになります。

「一発試験」で普通自動車二種免許を取得した場合には、返済する金額もかなり少なくなります。

教習中の日当・交通費の支給

普通自動車二種免許を取得するのも「仕事」ですから、ほとんどの会社で1万円前後(金額は会社によって異なる)の日当と、会社によっては教習所までの交通費を払ってくれます。

個人で申し込みを行い普通自動車二種免許に合格する

「短期間で会社を辞めた時にタクシー会社にお金を返すのは嫌だ」または「辞めるつもりは無いがタクシー会社に借りを作るのは嫌だ」という方もいるでしょう。

そのような場合には、タクシー会社に入社する前に普通自動車二種免許を取得することも可能です。ただし、当然のことですが、タクシー会社はその費用を払ってくれたり、お金を貸してくれたりすることはありません。

あくまでも、個人として免許を取得することになります。個人で二種免許を取得する場合には、次の方法があります。

個人で指定自動車教習所に通う

個人で指定自動車教習所に通うのであれば、自宅から通学しやすい教習所を選べばよいでしょう。

ただし、指定自動車教習所のホームページを見て頂くとわかるのですが、普通自動車二種免許のコースがある教習所は意外と少ないようです。

住所とは別の都道府県にある指定自動車教習所を卒業した場合でも、実地試験は免除になるので、東京に住んでいる人でも、自動車で通学するような場合には、神奈川県・千葉県・埼玉県などにある指定自動車教習所に通う方が、便利なことがあるようです。

個人で一発試験を受ける

個人で一発試験を受ける場合には、自分で練習をするか、自動車教習所で習ってからチャレンジすることになります。

個人的には、一発試験を受ける場合でも、自動車教習所で十分に練習をしてから挑戦した方が良いと思っています。その理由は、自動車教習所に行けば、安全に運転する方法を習うことができるからです。

タクシードライバーをはじめとする職業ドライバーに求められるスキルとは、カーレーサーのように速く走るテクニックではなくて、違反や事故を起こさないように安全・確実にお客様や荷物を運ぶ事ができるスキルです。私も、実際にタクシードライバーとして仕事をするようになって、安全運転の重要性を身にしみて感じています。

しつこいようですが、ぜひこの機会に安全な運転方法を再確認することをおすすめします。

大型二種免許を取得するという選択肢もある

まだ年齢が若くて、時間もお金もたっぷりあるという人限定ですが、どうせ個人で二種免許を取得するのであれば、大型自動車二種免許にチャレンジするという選択肢もあります。大型自動車二種免許を取得すれば、タクシー・ハイヤーはもちろんのこと、大型・中型のバスやトラックも運転できるので、将来に向けて職業選択の幅が広がります。

実技の教習は、路線バスに使われているタイプのバスで行われます。ただし、取得するまでに時間がかかるのと、費用も最低で45万円から50万円位は必要になります。大型二種のコースがある指定自動車教習所も限られているようです。

現在大型一種免許を持っている人は、普通免許しか持っていない人よりも少ない費用で大型二種免許を取得できるので、検討する価値があるかもしれません。

一部の指定自動車教習所での講座は「職業訓練給付」の対象になる

あまり知られていないのですが、普通自動車二種免許は、雇用保険の「職業訓練給付金」の支給対象の講座になっています。

支給対象者は「離職してから1年以内でかつ離職前に雇用保険の被保険者として3年以上雇用されていた人」の他に、在職中の人でも、雇用保険の被保険者として3年以上雇用されている人であれば支給の対象者となります。支給金額は、対象受講料の20%に相当する額(但し10万円限度)です。

タクシー会社に入社する前に、個人で普通自動車二種免許を取得する人は検討してみてはいかがでしょうか。ただし、全ての指定自動車教習所が対象となるわけではありませので、支給対象となる指定自動車教習所に通う必要があります。

制度についてはハローワークインターネットサービス厚生労働省のサイトで確認できます。

普通自動車二種免許取得までの道のり

ここからは、私が普通自動車二種免許を取得した時の様子についてお話します。

教習所のカリキュラム

私は、指定自動車教習所に通って、卒業後に自宅がある都道府県の運転免許試験場で学科試験に合格しました。

指定自動車教習所での教習は、第一段階:学科7時間・実技(場内教習)8時間、第二段階:学科12時間・実技(路上教習)13時間を行い、最後に卒業検定があります。

教習所に行くと、まず最初に行うのは「深視力の検査」です。入社の時に合格している人は問題ないでしょう。本番の免許試験場でも行われるます。教習所では予め設定している教習所の時間割を睨みながら、個人ごとに、最短の期間でで卒業検定まで終わらせるカリキュラムを作成してくれます。さらに全ての講習に予約を入れてくれます。

カリキュラムは入学する日によって異なってきます。私の場合は14日間で卒業検定まで終わるカリキュラムでした。この教習所では、最短であれば10日から12日ほどで卒業ができるようですが、朝9時から夜8時までぎっしりとスケジュールが組まれるので、少し余裕があったほうが身体は楽です。

学科の教習

実は、学科の教習はあまり記憶に残っていません。ただ、次の教習まで時間が空いているときには、学科試験のためにテキストを読み込んだり、試験対策の問題を解いたりしていました。

卒業したらすぐに免許試験場で学科試験を受ける事になるので、あまり試験勉強をする時間はありません。そのため、教習所には学科試験対策として自習用のPCが置いてあるのですが、このPCがかなり役に立ちました。

特にPCにある練習問題や模擬試験には、実際に学科試験に出題される「ひっかけ問題」が大量に組み込まれていたので、この時に正解できなかった問題を正解できるまで何度も繰り返すことで、実際の試験でも自信をもって回答することができました。

実技の教習

教習所には、生徒がストレスを感じない穏やかな教官が多かったのですが、運転中はびしびしといろいろな指摘を受けました。

まず最初に言われたのは「ハンドルの持ち方とハンドルの回し方」です。つい普段の「くせ」で変な持ち方をしてしまうのですが、その都度「変な持ち方はしないッ!」と厳しく言われました。

次に「とにかく安全運転」です。例えば、前方に人や自転車がいて「減速するべき」時でも「ハンドル操作で左右によける」ことしようとすると、すかさず助手席に座っている教官はブレーキを踏んで厳しく注意を行います。私の場合は「危険が予測される時には減速をするように」と何度も指摘されました。

「鋭角コースの通過」「方向変換」「縦列駐車」なども行うのですが、何度も繰り返し練習するので、誰でも問題なくこなせるようになると思います。なので、実技教習ではとにかく「安全確認!」「基本に忠実に!」です。

卒業検定

卒業検定は、講習で使用していた車、講習で走った道路で行われるので、問題なくクリアできると思います。

後部座席に他の受講生が1名座りますが、余計なことを考えずに、淡々と基本動作を繰り返して行けば大丈夫でしょう。

学科の試験

運転免許の試験場は人が多くて圧倒されます。しかもどこで手続きをすれば良いのかがわかり難いので、心配な方は早めに行って手続き方法等を確認したほうがいいかもしれません。

まず、最初に視力・深視力・色覚などの適性検査です。深視力の検査はこれまで何度も行ってきたので、大丈夫でしょう。

本番の試験は90点以上で合格です。意地悪な問題も多いのですが、10点分は間違っても大丈夫!と、リラックスして取り組みましょう。練習問題をたくさん解いてきた人は、練習問題と似ている問題が多いことに気が付くかもしれません。

私は無事に1回で合格できましたが、少し話をした隣の席の人は3回目だと言っていました。

お昼過ぎには免許証が交付されます。2週間以上に渡った普通自動車二種免許の取得も、これで完了!

明日からは、次の研修が待っています。

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意外に難関?タクシーの地理試験に合格する方法

地理試験は難しいです。

満点を取るのは、ほとんど不可能でしょう。

でも東京のタクシードライバーは全員合格しているという事実・・・。

つまり、合格するための傾向と対策があるのです。

このページでは、地理試験の概要と問題の中身、そして合格するための勉強法をご紹介しています。

地理試験の概要

東京都特別区・武三交通圏でタクシードライバーの仕事をするためには、公益社団法人 東京タクシーセンターが実施する4日間の「新規講習」を受講し、その第3日目に実施される「地理試験」に合格しなければなりません。

地理試験は、昭和45年5月に施行された「タクシー業務適正化特別措置法」第48条に基づいて実施されており、同法第49条及び同法施工規則第39条の2で「公益社団法人 東京タクシーセンター」が地理試験事務代行機関として指定を受けています。

現在、東京タクシーセンターの「新規講習」は、毎週「月・火・水・木」「火・水・木・金」のスケジュールで週2回行われていて、地理試験は毎週水・木の2日間だけ実施されています。

タクシー会社では、新人タクシードライバーをこの試験に合格させるために、独自に研修を行ったり問題集を作成したりと、いろいろと工夫をしているようです。

私の会社でも、新人の研修センターに地理試験専門の研修スタッフがいて、出来の悪い新人達をこの試験合格に合格させるべく奮闘していました。

なぜタクシー会社がこんなに力を入れているかというと、この試験が難しくて合格率が低いからです。私が受験した頃の全体の合格率は40%~50%前後だったでしょうか。私の会社でも何度も受験している人がたくさんいました。

実際に、地方出身の新人タクシードライバーの方などが何度受験しても合格出来なかった場合には、地理試験がない他の東京交通圏や他府県の系列タクシー会社などを紹介をする事があるそうです。

それでは、地理試験の内容と、私がなんとか1回で合格出来た勉強方法をご紹介します。

地理試験に出題される問題

地理試験では、道路の名称、交差点の名称、著名な建造物、公園、名所、旧跡、鉄道の駅の所在などの問題が40問出題されて、32問以上(80%以上)の正解で合格になります。

過去に出題された問題を見てみると、試験の出題方法はほぼパターン化されていて、配分は次のとおりです。

  • 問題1・・・15問
  • 問題2・・・10問
  • 問題3・・・5問
  • 問題4・・・5問
  • 問題5・・・5問

合計で40問が出題されます。

問題1は幹線道路名と交差点名の問題、問題2は施設名の問題、問題3~問題5は、交差点の名称、首都高の名称と入口・出口、著名な建造物、公園、名所、旧跡、ホテル、病院、鉄道の駅の所在などの問題が出題されます。

問題3~問題5の1つの問題で、乗車地と降車地が示されて、その間に通過する交差点を順番に回答する難問が出題されます。

この難問は1週間程度の勉強では、とても回答出来るような問題ではありません。ベテランドライバーでも難しい問題です。ですから、この問題は回答出来ないという前提で臨むしかありません

つまり、実際には40問出題されるのですが、この難問を除いた35問中32問以上に正解できるように準備する必要があります。間違っていい問題は3問だけということになります

なお、東京タクシーセンターのWEBサイトに、地理試験の過去問題が5回分だけ公開されているので、興味がある方はご覧下さい。⇒こちらです。

地理試験の勉強方法

東京タクシーセンターの地理試験は、地理試験対策の勉強を行わないと合格が難しい試験です。そのため、新人タクシードライバーが普通自動車二種免許を取得すると、ほとんどのタクシー会社やタクシー協同組合では、試験に特化した研修を準備しているはずです。

その研修で、上述したような地理試験の出題傾向や、合格するための勉強方法が示されるます。各タクシー会社や共同組合では、会社や共同組合の威信を懸けて勉強方法を伝授すると思うので、その勉強方法に従って勉強すれば合格ができるはずです。

具体的には、過去の「問題1」と「問題2」で出題されている幹線道路・交差点・施設名を全て暗記します。

ここで出題される幹線道路・交差点・施設名は、過去の問題の分析でほぼ推定されているので、それらを全て覚えてしまいます。

「問題3」「問題4」「問題5」についても、上述した難問以外の問題に関しては、各会社や共同組合による過去の問題の分析で、出題される問題の範囲がほぼ推定されていると思うので、これらの問題が全て正解できるように丸暗記します。

また、東京タクシーセンターが作成している練習問題集にも、実際に出題される問題が多数含まれているので、この練習問題を全て正解できるまで勉強する、つまり全て丸暗記します。

暗記するといっても、なかなか大変なので、私は自分でいろいろな「語呂合わせ」を作って、とにかくなんでもいいから覚えるようにしました。

例えば、東京都東部で東西に走っている幹線道路ですが、北から南に次のような順番で並んでいます。

  • :浅草通り
  • :春日通り
  • :蔵前橋通り
  • :京葉道路
  • :新大橋通り
  • :清洲橋通り
  • :葛西橋通り
  • :永代通り

この幹線道路の最初の「音」を縦に読むと、「アカクケシキカエ」。これを「赤く景色代え」でも「赤く毛敷き代え」でも何でもいいので、無理やり「語呂合わせ」を作って、覚えてしまいます。

これらの勉強を、5日から10日かけて必死に行い、4日間の「新規講習」を受講して「地理試験」を受験します。

4日間の「新規講習」の1日目と2日目にも「地理講習」の時間が6時間含まれているのですが、この講習は地理試験にはほとんど役に立ちません。

とにかく時間をかけて、試験に出ると思われる道路・交差点・施設等を覚えて、練習問題を繰り返して、地理試験の40問中35問を完璧に解答できるように勉強するしかありません。

地理試験の合格後

地理試験に合格した人には、東京タクシーセンターの「新規講習」第4日目の終了後に、「講習修了証」「地理試験合格証」とともに、「運転者証」が交付されます。

「運転者証」は、タクシーの助手席の前にあり、写真・氏名などが表示されているで、見たことがある方も多いと思います。

翌日からは、実際に乗務する前に会社で行う研修が待っているはすです。

残念ながら地理試験に合格出来なかった方は、次回以降の地理試験に再度チェレンジすることになります。

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タクシー会社の求人情報が多い理由

タクシー会社の求人情報が多い理由は、

退職するドライバーが多いことです。

仕事を辞めるドライバーが多いので、新聞の求人広告欄や転職情報誌には、1年中タクシードライバーの求人情報が溢れています。しかも東京のタクシー会社の求人情報は、新聞の地方版や地方紙にまで掲載されています。

昔から1年中求人を行っているのはタクシー会社と保険の外交員位だと言われてきましたが、今でもその状況は変わっていないようです。

ではどうしてそんなにタクシー会社では辞める人が多いのでしょうか?最近の言葉で言うと、タクシー会社は「ブラック企業」なのでしょうか?

結論から言うと、真面目にこの仕事に取り組もうと思っている人にとっては、退職する人が多いことはあまり気にする必要が無いのです。それから、タクシー会社は「ブラック企業」だとは思えません。

私はタクシー会社を辞める人のパターンは、これからお話しする2つだと思っています。1つ目は入社して1年以内に辞めてしまう人、2つ目は長年タクシーの仕事を続けてきた60歳以上のベテラン乗務員です。このページではそのことについてお話をしたいと思います。

タクシー会社の求人に応募して1年以内に辞める人達

3ヶ月と6ヶ月で辞める理由とは・・・

タクシー会社の求人情報1年中掲載されています。

そして、そこには30万円の給与保障!!42万円の以上の月給も可能!!免許取得費用全額会社負担!!といった魅力的なコピーが並んでいるので、誰でもすぐにタクシー運転手として採用されて、仕事を始めれば簡単に稼げると勘違いをしてもおかしくはありません。

この求人情報に誘われるように、私がいる会社でも毎月数人の新人のタクシードライバーが入社してきます。

これらの新人ドライバーの中で、まず乗務が始まって3ヶ月が過ぎる頃に突然辞める人が出てきます。

もしかすると、この人達はたぶん30万円の保障給が欲しくてタクシー会社に入社したのでしょうか。私が本社で新人の研修を受けていた時にも「30万円の保障期間が終わったら辞めるつもりだ」という人がいたので、「そんなのありなのか?」とびっくりしたことがあります。

続いて6ヶ月を過ぎると、思ったほど稼げない、予想したよりも体がきつい、お客様と言い合いをしてトラブルになった、事故・違反で乗務できなくなったなどの理由で、半分以上の人が辞めてしまいます。

せっかくいろいろな経験を積み上げてきて、もう少しだけ頑張ればこれから楽になるのにと思うのですが、みんな案外あっさりと辞めてしまいます。もしかすると、別の仕事が決まるまでの腰掛のつもりだったのかもしれません。

ここさえ乗り切れば楽になるのに・・・

実は、乗務を始めて最初の3ヶ月から6ヶ月の間は、道や建物も全くわからず、お客様からは叱られ、毎回ボロボロになって営業所に帰ってくる一番きつい時期です。

しかしこの時期が正念場で、6ヶ月を過ぎる頃には、少しずつ道を覚えて仕事も楽にこなせるようになります。

また真面目にコツコツと試行錯誤を繰り返していくと、6ヶ月から1年を過ぎる頃には自力で30万円の給与を稼げるようになります。

そして、入社して1年を過ぎた人達はもうほとんど辞めませんし、中には自分の能力に目覚めて、入社して6ヶ月位から営業所のトップクラスの売り上げを叩き出す新人ドライバーも出てきます。

それ位の売り上げができると、給料も40万円を超えて年収500万円も見えてくるのですが、そういう人がもっと歩合のいい会社に転職するという前向きの理由で退職することは、時々あります。

タクシーの仕事を辞めていくベテランの人達

タクシードライバーの世界は超高齢化社会

個人タクシーの運転手さんは70歳以上のベテランの人も多いことが知られています。

法人タクシーも多くの会社で65~70歳ぐらいまでは契約社員として勤務できるようになったので、私の営業所でも65歳以上のドライバーが何人もいます。

「東京ハイヤー・タクシー協会」の資料によると、2013年度の法人タクシー乗務員の平均年齢は58.2歳です。15年前の1998年度の平均年齢はは51.1歳、35年前の1978年度の平均年齢は39.2歳でしたので、急速に高齢化が進んだことがわかります。

一方でタクシー乗務員の平均年収は毎年下がり続けています。バブルのピークだった1993年の東京都タクシー乗務員の平均年収は570万円でしたが、2013年度の平均年収は403万円と大きく下落していて、今後も年収が上昇するような要因は見当たりません。

この「稼げなくなっている」ことが、ベテラン乗務員が辞めていく大きな理由の1つです。

タクシードライバーは拘束時間が長いので、年齢を重ねた肉体には厳しい職業です。そこそこ稼げていれば頑張れるのですが、稼げないときには疲れがどっと出ます。

まして年金が貰えるようになれば、この仕事を続ける理由が無くなります。

「やってられねぇ」という人も・・・

それにここ何年かで、タクシー会社による乗務員への締め付けが厳しくなりました。

きっかけは2009年に東京4社の一角である「国際自動車」において、道路運送法上の行政処分の時に付与される累積違反点数が「一般乗用旅客事業許可」の取消基準に達して、本社管轄の浅草営業所と大森営業所、それとハイヤーの900台ほどの事業許可が取り消しされたことです。(Wikipediaより転載)

他のタクシー会社も道路運送法上の行政処分が続くと「国際自動車」の二の舞になるため、「法令順守」の旗の下に「労働時間」や「乗務距離」の他、「違法駐車」「速度制限違反」等、警視庁から国土交通省関東運輸局に通報が行くと監査の引き金になる「道路交通法違反」をしたタクシードライバーに厳しく対処するようになりました。

具体的には、「タクシーの乗務停止」の他「内勤教育」と言って会議室に篭って反省文を何枚も書かされたり・・・。

その結果、これまで比較的自由に営業を行っていたベテラン乗務員の不満が高まり、「もう、やってられねぇ」という理由で退職をする事も多くなっています。

続けることが大切!その先に成功がある!!

最初にお話ししたとおり、タクシー会社が「ブラック企業」かと聞かれると、何となく違うような気がします。

確かに労働時間は長く、給料はとんでもなく安いですが、社内はのんびりしています。以前はあったようですが、最近ではパワハラの話も聞きません。

ただし給料が歩合給なので、それなりの金額を貰うためには、真面目に仕事に取り組んで試行錯誤を繰り返し、自分の営業スタイルを作り上げないといけません。全て自己責任で厳しい自己管理も必要です。

また乗務を始めた当初は、道や建物がわからないでしょうから、顧客対応でいやな思いをするかもしれません。

しかし、これも長くて入社して最初の1年間だけで、経験を積んで自信を持ってお客様を迎えられるようになると、トラブルは全く無くなります。

そして、道や建物を覚えれば覚えるほど、驚くほどに仕事が楽しくなります。全て自分が成長すれば解決出来る事なのです。

このページを読んでいる皆さんは、タクシー会社についての予備知識は得ていると思います。そして入社後に待ち受けていることを理解して、ぜひ「もう自分はこの仕事で生きていくしかない」という位の覚悟で入社して下さい。

それ位の気持ちでいれば何とか頑張れます。そのためにも転職先の仕事を良く理解して下さい。

成功を祈っています!!

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タクシー会社の求人情報は本当か?

タクシー会社の求人情報には、次のような威勢の良いコピーが並んでいます。

  • 配属前の研修は日給1万円支給!!
  • 免許取得費用全額会社負担!!
  • 当初32万円の給与保障!!
  • 42万円の以上の月給も可能!!
  • 年3回賞与支給!!
  • 全車最新ナビゲーションシステム搭載!!独身寮完備!!

タクシードライバーの仕事に興味がある人や、応募を考えている人の中には、「求人情報にあまりに良い事ばかり書いてあるけれども本当なのかな」と思う人もいるかもしれません。

そこで、現役タクシードライバーである私が、これらの求人情報の内容が本当かどうかお答えしたいと思います。

配属前の研修は日給1万円支給!

この求人情報はもちろん本当です。ただし、金額は会社によって違っています。

私の会社でも、会社に入社した日から営業所に配属される前日まで、日給が1万円と交通費が支給されました。

研修期間とは言っても、入社日以降はタクシー会社の社員ですから、試験合格のための勉強も仕事とみなしています。そのため、1日の拘束時間(7時から16時等)中は、しっかり勉強をしなければなりません。

自動車教習所では、最短期間で普通自動車二種免許を取得するために、朝の8時から夜の8時までびっしりと講習が入っています。研修センターに所属している間も、朝は決められた時間までに出勤して、制服に着がえて点呼とアルコールチェックを受けて、朝礼に参加をして、時間中はしっかり勉強をしなければなりません。東京タクシーセンターでの新規講習も、4日間全て9時から17時まで研修が組まれています。

これだけしっかりと時間に拘束された上での「日給1万円」ですから、もしかすると「もっと貰っても良いのではないか?」と思う人が出てくるかもしれません。

なお、普通自動車二種免許の学科試験に落ちたり、地理試験に落ちた場合には、会社によっては合格するまでの間は「無給」だったり「金額が半分」だったりします。これは「わざと試験に落ちて合格をするまでの日給を稼ぐ」ことを防ぐ目的で決められているので、当選と言えば当然の事です。

試験に落ちてしまっては、本人にも会社にも良い事はないので、試験は1回で合格出来るように、しっかり勉強をしなければなりません。

免許取得費全額会社負担!

この求人情報も、もちろん本当です。ただし、どのタクシー会社でも条件を付けているようです。

条件というのは「短期間で退職する場合には会社に費用を弁済する」という内容です。これは、新人タクシードライバーの資格取得のために投資した金額が回収できていない、という理由のようです。

また「退職するまでの期間」は会社によって異なり、1年から2年の場合が多いようです。入社から2年を過ぎている場合には返済をしなくても良いという判例があるので、2年が最長期間になります。

会社によっては、会社と新人タクシードライバーとの間で「金銭消費貸借証書」を締結しますが、「覚書」のような文書にサインをする会社が多いようです。

なお、研修期間中に退職する場合にも、免許取得費用の返済を求められます。

当初32万円の給与保障!

この求人情報も、もちろん本当です。

ただし、金額や保証される期間は会社によって違っています。

研修期間は1万円前後の日給が支払われる会社が多いので、保障給与が始まる期間は「営業所に配属されてから」「乗務が始まってから」という会社が多いようです。ただし、この保障給与が支払われるためには、一定の条件をクリアしなければなりません。

この条件も会社によって異なりますが、「出番を休み無くこなすこと」「1日に最低でも200kmは走行すること」「無事故・無違反であること」など、普通に真面目に勤務をしていれば問題がない内容だと思います。

給与が保障される期間は3ヶ月が多いようですが、なかには1年間保障するという会社もあります。

42万円以上の月給も可能!

この求人情報も、もちろん本当です。

どうして金額が42万円以上なのか分からないのですが、このコピーはいろいろな会社で見かけます。

タクシードライバーの給料は、ほとんどが歩合給です。会社によって歩合の率や計算方法は違うのですが、業界で「賞与」と呼ばれている後払い分の給料と合わせると、ほぼ月間の売上げ金額の58%から60%が給料の金額になります。

例えば、1日5万円の売上げの人が13日勤務すると、1ヶ月の売上げは65万円で、歩合の率が60%ならば給料の金額は39万円になります。この人の1日の売上げが5万5千円に上がると、給料の金額は42万9千円になります。

ただし、このうちの5%分は(会社によって率は違います)、後払いの給与として、7月・12月・3月に「賞与」という名目で支払われるので、実際には月給は39万3千円、賞与が3万6千円、合計42万9千円となります。

この、例として用いた1日5万5千円という売上げですが、現在の1日平均の売上げは約4万8千円前後なので、平均よりも頑張らないと達成できない数字です。ところが、新人のタクシードライバーの中にも、入社して6ヶ月を過ぎることには、それまで眠っていた才能を開花させて、営業所のトップクラスの成績を上げる人が出てきます。

営業所のトップクラスの人は、1日平均で6万5千円前後の売上げがあるので、上の例では月給が46万5千円、賞与が4万2千円、合計50万7千円になります。

このように、42万円という数字が出てきた理由はわからないのですが、実際に新人タクシードライバーでもそれ位の給料を稼いでいる人はいます。残念ながら、私は平均的な5万円プレーヤーなので、42万円もの給料は手にしたことはありません。

年3回賞与支給!

この求人情報は嘘ではないのですが、一般のサラリーマンの方は誤解をする表現ではあります。

というのも、上述したとおりタクシードライバーの給料は歩合制です。一般の企業のように「年間5か月分のボーナス」という考え方はありません。

それではこの「賞与」とは何かというと、給料の一部を後払いする金額のことです。つまり、1ヶ月の売上げを基準にして算出された歩合給が「月給」と「賞与」に分けて支払われるということです。

先にお話しした「42万円以上の月給も可能!」の例で言うと、歩合率の60%のうち、1ヶ月の売上げの55%分が「月給」で、5%分が「賞与」になります。

この賞与分は、何ヶ月分かをまとめて7月・12月・3月に支払うので、「年3回賞与支給」ということになります。

全車最新ナビゲーションシステム搭載!

この求人情報は、もちろん本当です。

ただし、もしもこのコピーが「道や建物を知らなくてもナビナビゲーションシステムがあるので大丈夫ですよ」と言いたかったのだとしたら、それは違います。

東京都特別区・武三交通圏でタクシードライバーになるためには、地理試験に合格しなければなりません。それにお客さんをお乗せする都度「ナビ」を使っていたのでは、営業になりません。

やはり、タクシードライバーの仕事をするのであれば、道や建物は1日でも早く覚える必要があるのです。

「全車最新ナビゲーションシステム搭載」をしているのは本当か?と聞かれれば、最新かどうかは別として、今のタクシーはほぼ100%ナビゲーションシステムは搭載しています。

独身寮完備!

これは、私にはわかりません。会社によっては、昔ながらの「独身寮」があるらしいのですが、私のまわりには「独身寮」に入っている人はいないのです。

多くの会社では、地方から上京してきた新人タクシードライバーのために、アパートやマンションを借り上げて、寮や社宅として使っているのだと思います。もちろん寮費や社宅料は給与から天引きします。

地方から上京して来る方に「住む場所はあるので心配ないですよ」というメッセージとして「独身寮完備」という表現になっているのだと思います。

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タクシードライバーの勤務シフト

タクシードライバーは「隔日勤務」という聞きなれない勤務形態で仕事をしています。

ただし同じ「隔日勤務」でも、ドライバーによって仕事をする時間帯や収入まで違ってくることがあります。

このページでは、そんなタクシードライバー勤務シフトについてご紹介します。

タクシードライバーの勤務形態

隔日勤務とは何か

隔日勤務とは、その名の通り1日おきに仕事をする勤務形態のことを言います。

例えば次のような勤務形態です。

  • 月曜日の朝7時から火曜日の朝4時まで仕事でその後自宅で休息・睡眠
  • 水曜日の朝7時から木曜日の朝4時まで仕事でその後自宅で休息・睡眠
  • 金曜日の朝7時から土曜日の朝4時まで仕事でその後自宅で休息・睡眠
  • 日曜日は休日

タクシー業界では、1回の仕事のサイクルを「出番」(でばん)と呼びます。

タクシードライバーは、基本的には1日おきに「3出番」続けて仕事をします。そして日曜日は休日で、翌月曜日からまた「3出番」続けて仕事をします。

つまり、隔日勤務を行っているタクシードライバーは、1回の出番で2日分の仕事をして、その後2日分の休息をとるのです。そしてそれを3回繰り返して、やっと丸1日の休みになります。

これを1ヶ月続けて、翌月始めにどこかに休日を1日はさんで、出勤する曜日が1日ずつずれます。

現在、タクシー業界ではほとんどのタクシードライバーがこの「隔日勤務」を行っています。

その理由は、この隔日勤務がタクシー会社の資産である「タクシー」を、最も効率的に稼動させることが出来る勤務形態だからです。

どういうことかと言うと、まず乗務員に2日分の仕事をさせることで、乗務員の交代や洗車といった「タクシー」が稼働できない時間を最小限に抑えます。

そして、乗務員の交代や洗車を、お客様のご利用が最も少ない朝の4時から7時の時間帯に行うことで、「タクシー」の稼働率の最大化を図っているのです。

つまり、タクシー会社は「タクシー」の稼働率を高めるために「隔日勤務」という勤務形態を採用しているのです。乗務員のためではありません。

隔日勤務の勤務時間の制限

厚生労働省では、隔日勤務のタクシードライバー労働時間について、次のように定めています。

  • 1ヶ月の拘束時間は262時間が限度。ただし労使協定があるときには、1年のうち6ヶ月までは270時間まで延長することが出来る。
  • 2暦日の拘束時間は21時間以内とする。また、勤務終了後20時間の休息時間が必要である。
  • ※拘束時間とは、始業時刻から終業時刻までの時間で、労働時間と休憩時間の合計時間をいいます。
  • 詳細についてはこちらをご覧下さい

上記から、1ヶ月に仕事が出来るのは、最大で13出番になります。
※「270÷21=(12出番+18時間)」

13出番のうち、11出番(22日に相当)が所定の出勤で、11出番を超える2出番(4日に相当)は、任意で休日出勤したことになります。(業界では「公出」と呼びます)

隔日勤務以外の勤務形態

タクシー会社によっては、昼間だけ働く「日勤」や、夜だけ働く「夜勤」といった勤務シフトを採用している会社もあるのですが、その数はごく僅かです。

タクシードライバーにとっては「夜勤」が一番稼げるのですが、やはり乗務員の交代等で自動車の稼働率が良くないようです。

タクシードライバーの勤務時間

タクシーは365日年中無休、24時間営業です。

そのため、どのタクシー会社でも、自社のタクシーが1台も営業していない空白の時間ができないように、最低でも2パターンの勤務時間を設定しています。

参考までに、主なタクシー会社が採用している勤務パターンをご紹介します。採用している勤務パターンは会社によって様々で、呼び方や時間帯も違うのでご注意下さい。

  • A勤務:7:00~3:00(3時間の休憩を含む)
  • B勤務:8:00~4:00(3時間の休憩を含む)
  • C勤務:9:00~5:00(3時間の休憩を含む)
  • D勤務:10:00~6:00(3時間の休憩を含む)
  • E勤務:12:00~8:00(3時間の休憩を含む)
  • F勤務:13:00~9:00(3時間の休憩を含む)
  • G勤務:14:00~10:00(3時間の休憩を含む)
  • H勤務:15:00~11:00(3時間の休憩を含む)
  • I勤務:16:00~12:00(3時間の休憩を含む)

私のいる営業所では、B勤務とE勤務の2パターンの時間帯で仕事を行っています。

他の営業所や他の会社でも多いのは、A勤務、B勤務、E勤務、F勤務でしょうか。他の会社のタクシードライバーの方と話しをしていると、I勤務の売上げ金額がいちばん高いそうです。

勤務時間の選び方

もしも、仕事をすることになった会社や営業所で複数の勤務パターンが選べる合には、どの勤務時間が良いか聞かれるかもしれません。

その場合の参考となるように、私の会社の勤務パターンについてお話しします。

「B勤務」の特徴

私は現在B勤務で仕事をしているのですが、私にとってB勤務で仕事をするメリットは次のとおりです

①朝会社に出勤するのでこれまでの生活のリズムに近い。
②勤務前の朝食と勤務後の朝食を自宅で家族と一緒に食べることが出来る。
③勤務日前の夕食を家族と一緒に食べることができる。
④お客様が多い8:00~10:00と料金が2割増しの22:00~5:00の一部の時間で営業が出来る。

B勤務は、料金が2割増しとなる時間をフルに使うことは出来ないのですが、私にとっては家族と一緒に過ごす時間を確保することが大切なので、今のシフト以外で仕事をすることは考えていません。

「E勤務」の特徴

E勤務はお昼から仕事が始まるので、通勤に2時間以上時間がかかる人などは、最初からE勤務で仕事をしているようです。

また、E勤務は朝の出勤時間帯のお客様をお乗せすることは出来ないのですが、料金が2割増しになる22:00~5:00の時間帯をフルに使うことが出来ます。そのため、B勤務の人よりも売上げ金額は高くなります。

私の会社では原則としてB勤務で仕事を行い、売上げ金額が高いドライバーにE勤務で仕事をしないかと声をかけているようです。

その結果、E勤務に変更した人は更に売上げ金額が上がり、会社全体としても売上げ金額が増加するという効果があるようです。

最強の出勤パターン「I勤務」の特徴

私の会社では設定がないのですが、一番稼げるのは朝の出勤時間帯と夜の2割増しの時間帯の両方をフルに活用できる「I勤務」です。

ただし、この時間帯を選ぶと、ほとんど「夜勤」に近い生活パターンとなるので、どの会社でも採用している訳ではないようです。実際に私の会社ではありません。

隔日勤務で思い切り稼ぎたい方は、この「I勤務」がある会社を選ぶといいでしょう。

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タクシードライバーの給料・年収はどれぐらいなのか?

世の中ではタクシードライバーの給料は安いと言われています。

ところが、タクシードライバーの給料は完全に歩合給なので、年収で見ると300万円の人もいれば600万円の人もいるのです。

年収が300万円であれば、世の中的には

「安い!」

と思う人が多いでしょう。

ところが、年収が600万円となると、

「えっ!そんなにもらえるの?」

と思いませんか?

ちなみに、平成28年の「東京都全産業男性労働者」の平均年収は677万円です。

この数字と比べてみると、年収600万円は決して多い収入ではないのですが、普通のサラリーマンと比べても遜色のない金額だと思います。

しかも、20代や30代前半の人であれば、遜色がないどころか、かなりいい金額です。

しかし、タクシードライバーという仕事で年収600万円を稼ぐということは、実はとても大変なことでもあるのです。

そこで、このページでは、タクシードライバーの給料・年収についてお話しします。

これからタクシードライバーの仕事をしたいと思っている人にとっては、給料のことがいちばん重要な問題なので、このページではできるだけ現実的なお話しをしたいと思います。

東京都タクシードライバーの平均年収

(出典:東京ハイヤータクシー協会「東京のタクシー2017」)

東京ハイヤータクシー協会が発表している平成28年の東京都タクシードライバーの

平均年収は443万円ででした。

上の図を見ていただくとわかるのですが、平成26年は392万円、平成27年は393万円と400万円に届かなかったのですが、平成28年には443万円と前年から50万円も上昇しています。

443万円を単純に12で割ると36万9千円で、この金額が毎月の平均月収になります。(賞与分も含みます。)

ただし、上の図にもあるように、東京都の全産業男性労働者の平均である677万円と比べると234万円も低い水準にあります。

私は自分ではかなり頑張っているつもりなのですが、年収は毎年約400万円前後です。

私の場合には、サラリーマン時代の年収の半分以下です。

歩合制なのだから「もっと頑張れ」と思うかもしれませんが、後で具体的にお話ししますがタクシードライバーで600万円以上の年収を稼ごうとすると1出番の平均売り上げで7万円以上が必要になるのです。

1出番当たりの売り上げが7万円という数字は、各タクシー会社の上位数パーセントの人しか達成できない売り上げです。

ちなみに、東京のタクシードライバーの1出番当たりの平均売り上げは、4万9千円です。

売り上げがトップクラスのタクシードライバーでも、年収は600万円台なのです。

年収が700万円を超える人は、ごくわずかしかいません。

このことを考えると、タクシードライバーの給料は他の産業と比べるとかなり低い水中に抑えられているのだと思います。

タクシードライバーの給料・賞与の計算方法

タクシー会社の給料算出方法

タクシードライバーの給料は、ほとんどの会社が完全歩合制です。

東京のタクシー会社では、月間の売上げの約60%がタクシードライバーの給料として支払われています。

※給与規定や算出方法は会社によって大きく異なります。

例えば、1出番平均の売上げが5万円(消費税分は除きます)のタクシードライバーが月に12出番の仕事をすると、月間の売上げは「5万円×12出番=60万円」になります。

この月間売上げの約60%、つまり「60万円×60%=36万円」が1ヶ月の給料の金額になります。

そして、年収は「36万円×12ヶ月=432万円」となります。

タクシー会社の賞与算出方法

タクシードライバーに賞与が支払われる会社もあります。

私が勤務している会社でも賞与が支払われています。

しかし、その賞与の内容は一般の会社の賞与とは大きく異なっています。

何が違うのかというと、タクシードライバーに支払われる賞与というのは、本来であれば毎月支払われる給料の一部が会社に積み立てられて後払いされるだけなのです。

会社の業績が良かったので毎月の給料の他に賞与が支給されるというわけではありません。

会社の資金繰りのために後払いにしている金額を「賞与」と呼んでいるだけなのです。

先ほど売り上げの約60%が給料として支払われると言いましたが、賞与がある会社の場合には売り上げの約60%が毎月の給料と賞与に分けて支払われることになります。

例えば、1日平均売上げが5万円で、歩合率の60%のうち、55%分を月の給料として支払い、5%分を賞与として支払うとします。

その場合、月間の売上げは「5万円×12=60万円」。

毎月のの給料は売上げの55%なので「60万円×55%=33万円」。

賞与分として会社に積み立てられる金額は「60万円×5%=3万円」となります。

賞与の支払い月は会社によって違うのですが、多いのは次のようなケースです。

  • 7月支払い:3月・4月・5月・6月の4ヶ月分=12万円
  • 12月支払い:7月・8月・9月・10月・11月の5ヶ月分=15万円
  • 3月支払い:12月・1月・2月の3ヶ月分=9万円

このように、賞与の年間合計額36万円が、7月に12万円、12月に15万円、3月9万円と、年3回に分けて支払われます。

タクシードライバーはいくら位まで稼げるのか

タクシードライバーの拘束時間と走行距離

タクシードライバーの給料は歩合制なので

「頑張れば頑張るほど給料が多くなる!」

というのは間違いではないのですが、

実は青天井で給料がもらえるわけではありません。

その理由は、タクシードライバーには仕事を行う時に、いろいろと守らなければいけない規制があるからです。

その中で、売上げに大きく影響するのは、「拘束時間」と「走行距離」です。

※「拘束時間」とはタクシードライバーにだけ存在する概念です。始業時刻から終業時刻までの時間で、労働時間と休憩時間(仮眠も含む)の合計時間のことを言います。

隔日勤務のドライバーの「拘束時間」は、厚生労働省からの指導で、1ヶ月262時間までと決められています。※ただし労使協定で1年のうち6ヶ月間だけは270時間まで延長できます。

262時間をを12日で割ると1回の出番の拘束時間は最長で21時間です。

つまり、朝7時から仕事を始めるタクシードライバーは、翌朝4時までが最大の勤務時間になります。

次に「走行距離」ですが、これは行政から1出番あたり365kmまでと制限を付けられています。(高速道路の走行距離は除かれます)

つまり、1ヶ月12出番(月によっては13出番の時もあります)、1出番あたり21時間、走行距離365kmの範囲でしか仕事が出来ないのです。

タクシードライバーの1日の売上げ

平成28年における東京のタクシードライバーの1出番あたりの平均売上げは約4万9千円です

日々の売上げは、その日が何月なのか、何曜日か、天候はどうか、月の初めか終わりかなどで大きく違ってくるのでなんとも言えないのですが、およそ3万円から8万円の中に納まります。

日々の売上げだけ見れば、8万円できる人は全体の1%から2%、7万円出来る人は全体の5%前後ではないでしょうか。

私も年に1~2回は1日に8万円できる日があります。

最近は、コンスタントに1日に9万円・10万円を売り上げる人はほとんどいません。

たまに奇跡的に9万円・10万円を売り上げる人が出る位です。

これが1出番の平均売り上げとなると、営業所でトップの人でも7万円台です。

私の会社では1出番平均で8万円出来る人はほとんどいません。

私は1出番平均5万円しかできませんが、順位でいくと上から50%前後のところにいます。平凡な私でも5万円なら何とかコンスタントにできる手ごたえがあります。

入社1年目の人でも1出番平均で6万円を超える人が何人もいます。

ですから、頑張れば1出番平均で6万円、さらに頑張れば、1出番平均6万5千円は十分に狙える金額です。

タクシードライバーの現実的な給料と年収

例えば、給料の歩合が55%、賞与が5%の会社があるとしたら

1出番平均売上げが5万円の場合:1ヶ月の給料33万円 年間賞与36万円 年収432万円
1出番平均売上げが6万円の場合:1ヶ月の給料39.6万円 年間賞与43.2万円 年収518万円
1出番平均売上げが7万円の場合:1ヶ月の給料46.2万円 年間賞与40.4万円 年収604万円

このあたりまでの数字が、現実的な収入のような気がします。

ダクシードライバーで年収1,000万円は、夢ではなくて不可能な収入です。

これからタクシードライバーになる人の目標金額

これからタクシーの仕事を始める人も、最初はかなり苦労をしますが、1年後には1出番平均で4万5千円から5万円は出来るようになると思います。

1出番平均5万円という数字は平凡な私でも達成出来ているので、まじめにコツコツと仕事を積み上げていけば決して出来ない売上げではありません。

ただし、この1出番平均5万円から1出番平均6万円に増やすのが少々大変です。

ここから売上げを伸ばせるかどうかは、個人の努力に加えてメンタルの強さや体力、さらに営業センスが必要になってきます。

残念ながら、私はなかなか出来ないでいます。

だだし入社して6ヶ月位で1出番平均6万円を軽々と超えて、1年後には7万円という営業所トップクラスの売上げを達成する人もいるので、実際に仕事を始めてみないことにはなんともわかりません。

とりあえずの目標は「月平均5万円達成!」がいいかな、と思っています。

まとめ

平成28年における東京のタクシードライバーの平均年収は433万円、平均月収は36万9千円でした。

ただし、タクシードライバーの給料は完全歩合制なので、頑張れば年収を増やすことも可能です。

1出番平均で6万円の仕事をすれば年収500万円、7万円の仕事をすれば年収600万円に到達します。

しかし、年収700万円を超える人はほんの一握りで、それ以上の収入を得ることは不可能です。

タクシーの仕事は決して楽ではないので、そのことを考えると他の産業よりもかなり低い水準に抑えられているように思います。

サラリーマンからタクシードライバーに転職をする場合には、現実的な給与水準を理解することが大切です。

タクシー会社は中高年サラリーマンの転職先になるか?

サラリーマンをしていた中高年の方が、タクシードライバーに転職するというケースが増えています。

長引く景気低迷で中高年サラリーマンのリストラが加速するなか、タクシー業界だけは常に求人情報が溢れていているのですから、中高年サラリーマンの方がタクシードライバーに転職しようと考えるのは不思議な事ではありません。

一方で、中高年サラリーマンから転職してきた方が、厳しい現実に直面して思い悩んだり、いろいろな理由で仕事を続けることが出来なくなるケースも増えています。これは、タクシードライバーという世界が、それまで長年仕事をしてきたサラリーマン社会と大きく異なることと、ご自分の生活が大きく変化することが原因だと思います。

そこで、中高年サラリーマンの方がタクシードライバーに転職する前に知っておきたい重要な事を、3点だけご紹介します。

年収が400万円前後に減り生活の質が大きく変わる

中高年サラリーマンがタクシードライバーに転職すると、年収が大幅に減少します。

2013年の東京都全業種男性労働者の平均年収は643万円なのに対して、東京都のタクシードライバーの平均年収は403万円しかありません。ちなみに私の直近の年収も約400万円です。

しかも、東京都のタクシードライバーの平均年収は、バブル最盛期である1992年の507万円をピークに大きく減少しており、今後上昇するような要因は全くありません。営業努力で1日の平均売り上げを6万5千円にまで増やせば給料は約43万円、年収も約500万円になりますが、今の経済状況ではかなり頑張らないと出来ない数字です。

タクシードライバーへの転職を考えている中高年サラリーマンの年収は、平均すると800万円から1000万円前後だと思います。その年収が半分以下になります。

私もそうだったのですが、中高年になって年収が半分以下になると、生活の質が大きく変わります。旅行や外食はもちろん、外でお酒を飲むことも出来ません。
毎日の食事の内容も変わってきますし、洋服など買ったこともありません。極端な話しをすると家と会社の往復だけの生活になります。

転職後に年収が大幅に下がって、このような生活の質の変化を受け入れることが出来るかどうか、本気で考えなければなりません。

家族の理解を得られるか

中高年サラリーマンの方がタクシードライバーに転職をすると、生活のパターンが大きく変わります。

多くのタクシードライバーは、早朝に家を出て翌朝帰宅をするという生活を送っています。さらに、仕事をする日はカレンダーとは関係なくやってくるので、土日や祝日は関係が無くなり、お正月休みや夏休みもありません。

1ヶ月に12出番か13出番の仕事をしますが、11出番(22日に相当)が普通の出勤扱いで、それに追加される1出番(2日に相当)・2出番(4日に相当)は、一般企業で言う休日出勤になります。ただし休日出勤も勤務シフトに組み入れられているので、休むことはできません。会社にお願いすれば休みは貰えますが、有給休暇は有名無実でタクシーに乗務しないと給料が出ない仕組みなので、休んだ分だけ給料が減ります。

ご家族と一緒に生活をしている中高年サラリーマンの方は、このような生活パターンになることを説明してご理解頂く必要があると思います。夫が家事を分担しているご家庭も多いようなので、その調整もしなければなりません。また、場合によっては夫の給料だけでは生活が出来ないので、奥さんにも仕事をしてもらう必要があるかもしれません。こうなると家族の理解というよりは協力をしてもらうことになります。

それから、これは少し寂しい話しなのですが、ご家族の方が「タクシーの仕事だけはやらないで欲しい」と言う場合もあるようです。もしもそうであれば、どんな仕事ならば良いのかを話し合わなければいけません。

お客様に何を言われても我慢できるか

現在、サービス業・外食産業・小売業にお勤めの方であれば、若いお客様や女性のお客様から厳しいご指摘やお叱りを受けてもあまり驚かないとは思います。

ただし、それ以外の業種から転職してくる中高年サラリーマンの方は、時々タクシーのお客様が暴言を吐かれたり、運転手を見下した態度を取るので、最初はびっくりするかもしれません。また、降りる時にいろいろと難癖をつけて、料金を踏み倒そうとするお客様もいます。

お客様が暴言を吐かれるのは、タクシーの中が密室でお客様が周りに遠慮する必要が無いこと、明らかにお客様が運転手よりも優位な立場にあることが理由だと思います。このような場合には、会社の幹部や先輩から「何を言われても反論してはいけない」と教えられるのですが、思わず言い返してしまい、会社や東京タクシーセンターにクレームが入ることがあるようです。

私もクレーマーやモンスター的なお客様が続くと、「自分はなんでこんな仕事をしているのだろう」という気持ちになり、正直に言って自分の立場の弱さに情けなくなることもありました。ただし、転職してから半年・1年と経験を積んで、自信を持ってお客様をお乗せするようになると、お客様対応で嫌な思いをする事が劇的に減少します。そして仕事に慣れてきてからは、「またこういうお客様が乗ってきたな」と第三者的に自分に言い聞かせて、決してお客様と同じ土俵に上がらないようにしています。

この事は、自ら成長することでしか解決が出来ないので、サラリーマンから転職してきた中高年の方も、それまでの間はじっと我慢することが必要になってきます。

最後に必要なのはこの仕事を一生続ける覚悟

私も20年以上勤めたサラリーマンの仕事を辞めてタクシードライバーに転職しました。

その後、会社の職員の方々、先輩・同僚、そしてたくさんのお客様に助けられてなんとか頑張ってこれたのですが、「自分には、もうタクシー運転手の仕事しかないのだ」と覚悟をしてこの業界に飛び込んだ事も、仕事を続けられた理由かもしれません。昔から、タクシードライバーには様々な経歴の人がいると言われていますが、この人達に共通していることは、もう自分にはタクシー運転手の仕事しか無いのだという気持ちでこの世界に入っている事だと思います。

実はタクシードライバーという仕事には、サラリーマンの世界にはない魅力もあり、この仕事が本当に好きでプライドを持って仕事に取り組んでいる運転手もたくさんいます。しかし世の中におけるタクシードライバーに対する評価は低く、ご自分の経歴に「タクシー運転手」という職業が記載された途端に、もう人生に後がなくなるということも事実なのです。

ですから、特にこれまでサラリーマンをしてきた中高年の方々には、タクシードライバーへの転職は慎重に考えてもらいたいと思います。もしも他の選択肢があるならば、その仕事を優先させるべきでしょう。

ただし、どうしてもタクシー会社に転職するしかないのであれば、先にお話した3つのことを受け入れられるかどうか考えてみて下さい。そして「一生続けられるかどうか」についても。

そして、その覚悟ができるのであれば、他に何も心配はいりません。後は行動あるのみ!